パラベンの危険性 ~パラベンは危険?安全?~

2018年7月16日

化粧品にはスキンケアやメーキャップといった様々な目的がありますが、どんな目的においても多くの場合、防腐剤という化学物質が含まれています。化粧品における防腐剤は一言でいうならば、菌の繁殖を防ぎ、長期間使用できるようにするためのものです。防腐剤の効果により、化粧品は3年という長期にわたり、使用が可能となるわけです。今回は防腐剤の中で最もメジャーであるパラベンに焦点を当てます。




パラベンって何??

化粧品の中身についてある程度ご存知の方はパラベンをご存知の方も多いと思います。とはいえ、それがどんな構造でどんな反応をする物質なのかはほとんどの方が知らないのではないでしょうか?中にはなんとなく印象が良くないからパラベンフリーの化粧品を買うという方もいらっしゃるのでは?

まずはパラベンがどんな物質なのかをご紹介いたしましょう。パラベンはパラオキシ安息香酸エステルの総称であり、以下のような構造をとります。

パラベンの構造式

パラベンはカルボキシル基(COOH)とフェノール基(OH)がついたベンゼン環がエステル結合をするという構造をしており、R部位の違いにより、メチルパラベン、ブチルパラベンなどの種類が存在します。

このようにパラベンは小さな分子であり、最小のメチルパラベン(R部位がCH3)では分子量が約152となっています。

化粧品ではよく高分子が使われており、万単位の分子量の物質も多いため、化粧品に詳しい方は割と小さな分子だと感じていただけるかと思います。ちなみに分子量が小さな化粧品配合原料は他に水(分子量:18)、尿素(分子量:60)などがあります。ほんの一例ではありますが。

では分子量が小さいといったい何が起こるのかといいますと、当然小さい物質ですので、皮膚への浸透力は高まります。ついでに言うと、油溶性のため構造的にも皮膚への浸透性は高めです。そして、皮膚に浸透するということは皮膚中で何かしら効果を及ぼす可能性が高いということになります。

 

パラベンの危険性

さて、パラベンが皮膚に浸透しやすいと分かったところで、パラベンの危険性を考えていきましょう。例えば、皮膚に浸透しやすい物質があったとして、それが美肌に効果が良いものであれば、使用者としてはどんどん浸透してほしいものとなります。一方でパラベンは浸透して悪さをするという研究報告があります

これまでの研究において、パラベンがTRPA1という侵害刺激受容体を活性化することが分かっています(Methyl p-hydroxybenzoate causes pain sensation through activation of TRPA1 channels. Br J Pharmacol 151: 134-141;2007.)。TRPA1はワサビやシナモンの主成分を受容するチャネルで、体にダメージを与えるかもしれない刺激の一部を感じ取り体に危険を知らせる受容体です。

TRPA1を活性化するということは体にとって良くないものの可能性があります。とはいえ最近の研究では、パラベンは皮膚に浸透してすぐにPHBA(パラヒドロキシ安息香酸)などに分解され、PHBAはほとんどTRPA1刺激性がないという報告もあります。

実際パラベン自体は刺激性がありますが、体の中に取り込まれるとほとんど無力化されているのかもしれません。そのため、今後の研究報告が出るまではっきりとは言えませんが、パラベン分解力が弱い人以外はパラベンの使用は特に問題ないのかもしれません。

まとめ

結論をはっきり述べれずすみませんが、化粧品の世界では印象で良し悪しが言われ、あとから科学的な論拠がついていくことが多く、パラベンに関してもどの程度体への悪影響があるかは定かではありません。

実際のところ、アレルギーなどでパラベンで刺激が出る方がわずかにいるものの、ほとんどの人はパラベンが入っていようが問題なく使えているのです。そのものが危険であることを証明するのは簡単でも危険がないことを証明するのは難しいものです。

また、パラベンは防腐力が強く、パラベンを入れることは他の防腐剤の配合量を減らすことにもつながります。防腐剤は配合量により刺激がでてしまうものが多く、パラベンが他の防腐剤の刺激をかき消すことができるという考えもできます

さらに、パラベンのような防腐剤がほんのコンマ数パーセント入っているというだけで、化粧品が腐ることを防ぎ3年間安全に化粧品を使えるようになると考えると、パラベンはわずかなリスクと同時にものすごく大きな貢献があるのかもしれませんね。